Amazon Bedrockとは?利用するメリットと基盤モデル

この記事でわかること
- Amazon BedrockはAWSが提供する手軽に利用できる生成AIサービスのこと。
- カスタマイズ性や連携性が高く、保守・運用コストの最適化を図りやすいのが特徴。
- Anthropic、Meta、Mistral AI、Amazonなどが提供する基盤モデル(FM)とAPIで連携できる。
ChatGPTに代表される生成AIの市場は盛り上がっており、画像生成やレポート作成などビジネスシーンで利用できるサービスも登場しています。
アマゾン ウェブ サービス(AWS)のAmazon Bedrockは、これらの生成AIサービスを開発する際に役立つクラウドサービスです。APIでAWS以外のサードパーティが提供する基盤モデルを利用できます。例えばAnthropic社のClaudeや、Stability AI社のStable Diffusionといった基盤モデルと接続できるため、手軽なアプリ開発ができるようになりました。
今回はAmazon Bedrockについて、利用するメリットや対応する基盤モデルなどを紹介します。
「AWSの概要を詳しく知りたい方はこちら」
※当記事は2024年12月に書かれたものであり、以後に展開された最新情報が含まれていない可能性がございます
●Amazon Bedrockとは?
Amazon Bedrockは、APIを介して基盤モデル(FM)を使用できる生成AIサービスです。インスタンスを持つ必要がないなど手軽に利用できる点が特徴です。
主な活用例として、指示に応じたテキストの生成や長い文章の要約、SNS投稿用の画像生成、ChatGPTのようなチャットボットなどの利用が見込めます。
似たサービスに機械学習のモデル開発からできるAmazon SageMakerがありますが、それと比較しても手軽に最新の生成AIモデルを利用可能です。生成AIサービスを素早く展開したい場合やトレーニングデータが不足している場合に使いやすく、ビジネスシーンでの活用が進んでいます。
●Amazon Bedrockを利用するメリット
手軽さが魅力の生成AIサービスであるAmazon Bedrockですが、ビジネスで利用するメリット5つをそれぞれ詳しく解説します。
・さまざまな基盤モデル(FM)が選択できる
1つ目にAPIで利用可能な基盤モデルの多さが挙げられます。AIの基盤モデルには汎用的なモデルもあれば、言語処理や画像生成、コード生成など特定の用途に特化したモデルもあります。
Amazon Bedrockでは、AI21 LabsやMetaなどの大手AI企業が提供する高性能基盤モデルに数多く対応しており、開発者の多様なニーズに応えやすいサービスといえるでしょう。
・基盤モデルのカスタマイズができる
次に提供される基盤モデルに対して、自社データを活用したチューニングができる点が挙げられます。独自のデータソースで情報を補完し、微調整や検索拡張生成(RAG)を行うことで、業界特有の知識にも対応できるなどAIモデルの精度向上が期待できます。
今後はカスタマイズに対応した基盤モデルも増加する見込みで、より使い勝手が良くなるでしょう。
・幅広いシステム構築が可能になる
Amazon Bedrockは対応する基盤モデルを同一のプラットフォームで利用することも可能です。モデル間の比較や組み合わせもできるため、開発するサービスやアプリの幅も広がります。
また、他のAWSサービスと組み合わせれば、さまざまな用途に対応するシステムの構築も可能です。例えば、Amazon S3に保存されたデータを基盤モデルのファインチューニングに活用する、Amazon SageMakerでの追加学習を通じて高度なAIソリューションを構築するといったことができるでしょう。
・社内システムと連携したエージェントを構築できる
基盤モデルをAPIで動かせるため、社内システムと生成AIシステムとの連携も容易です。例えば、問い合わせ対応を自動化するAIエージェントや、社内システムへのデータ入力を自動化するエージェント機能を開発することで、業務プロセスを効率化できます。
・システムの保守・運用のコストを削減できる
現在、基盤モデルをゼロから開発するには数百万ドルの費用がかかるといわれています。(※)
Amazon Bedrockを利用すれば、基盤モデルの分だけ初期開発コストを抑えることが可能です。
また、利用した分だけ料金を支払う従量課金制となっているだけでなく、需要の変動に応じてリソースを自動で調整することで無駄なコストを抑えることもできます。システムのライフサイクルで見ると長期的には保守・運用にかかるコストを削減できるサービスです。
(※)出典:AWS「基盤モデルとは何ですか?」
●Amazon Bedrockから利用可能な基盤モデル
多様なモデルに対応するAmazon Bedrockですが、各基盤モデルの特徴や得意領域について以下で解説します。
・Amazon Nova
「Amazon Nova」はMicro・Lite・Pro・Canvas・Reelといった複数のモデルで構成されており、利用用途や精度、速度、コストに応じて最適なモデルを選択できます。テキスト・画像・動画をプロンプトとして活用でき、商品広告の動画作成やAIによる動画内容の解説など、多様なシーンで利用可能です。
・AI21 Labs(Jurassic)
「Jurassic」はさまざまな言語に対応する大規模言語モデル(LLM)です。英語・スペイン語・フランス語・ドイツ語・ポルトガル語・イタリア語・オランダ語に対応しており、長文の文章作成やチャット応答が得意分野になります。
・Anthropic(Claude)
「Claude」は汎用型の大規模言語モデルで、性能とコストのバランスに優れている点が特徴です。20万トークンという大量の情報の入力に対応し、それを低コストで処理できます。2024年6月にはClaude 3.5が発表され、同年10月には従来モデルよりも性能が高く、Artifactsと呼ばれる生成コンテンツのリアルタイム編集機能を備える「Claude 3.5 Sonnet」と生成速度に特化した「Claude 3.5 Haiku」が発表されました。
・Cohere(Command, Embed)
大規模言語モデルのスタートアップであるCohereが展開する「Command」と「Embed」は、ビジネス用途の文章生成に強みがあります。主に業務で用いるAIアシスタントやプライバシー管理などの機能向けといえるでしょう。
・Meta(Llama)
「Llama」は自然言語の理解とテキスト生成に強みがある基盤モデルです。企業の議事録などの文書作成や会話型AIチャットの機能開発に向いています。
・Mistral AI(Mistral)
「Mistral」は自然言語とコード関連のタスク理解に優れたモデルで、特にコード生成・最適化や技術ドキュメントの作成において高いパフォーマンスを発揮します。そのほかテキスト要約にも対応しています。
・Stability AI(Stable Diffusion)
画像生成に特化した「Stable Diffusion」は、入力されたテキストに沿って画像を生成する基盤モデルです。複雑な構図にも強いとされており、広告制作やゲームキャラクター制作にも活用されています。
●Amazon Bedrockの利用にかかる料金
最後にAmazon Bedrockの料金を解説します。Amazon Bedrockはモデルの利用やカスタマイズによって料金が発生する仕組みです。
料金プランは「オンデマンド」、「バッチ」「プロビジョンドスループット」「カスタマイズ」などがあり、詳細は以下の通りです。
- オンデマンド:トークン数や画像生成ごとに従量課金されます
- バッチ:Amazon Bedrock は、Anthropic、Meta、Mistral AI、Amazonなどの主要なAIプロバイダーから提供される厳選した基盤モデル(FM)を、オンデマンド推論料金と比較して50%低い料金でバッチ推論用に提供しています
- プロビジョンドスループット:時間単位で課金されるこの料金設定では、1か月または6か月の契約期間を柔軟に選択できます。コミットメント期間が長いほど、時間単位の料金が割引されます
- カスタマイズ:カスタムモデルは1か月当たりの保存料金が発生します。加えて、カスタマイズされたモデルはオンデマンドでは利用できず、プロビジョンドスループットを購入する必要があります。また、カスタマイズにあたってモデルが処理したトークンの数に応じて、トレーニング費用も発生します。
なお、料金プランの内容は利用するモデルやリージョンによって異なるため、AWSのサイトで事前に確認しましょう。
https://aws.amazon.com/jp/bedrock/pricing/
●Amazon BedrockでAIサービスを素早く実装しましょう
AWSのAmazon BedrockはAPIで生成AIの基盤モデルを操作できるサービスで、インスタンスのいらない手軽さが特徴です。基盤モデルにはそれぞれテキスト生成や画像生成などの強みがあるため、組み合わせて開発することで幅広いAIアプリを実装できるでしょう。
検索拡張生成(RAG)を利用したり、自社のシステムとAPI連携したりすることで、精度向上や業務効率化の実現につながります。
また、生成AIを業務に使用することを検討している場合は、AWSパートナーに依頼することもおすすめです。
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