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AWSとは?導入するメリット・デメリットや起こりうる障害、料金体系

AWSとは?導入するメリット・デメリットや起こりうる障害、料金体系

「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」をご存知でしょうか。柔軟性・拡張性の高さから、ビジネスにおけるさまざまな課題解決に活用されています。この記事では、AWSのメリット・デメリット、料金体系、起こりうる障害など基本的な知識について解説します。

●AWSに関する基礎知識

AWSとは、Amazonが企業に向けて提供しているクラウド型サービスのことです。正式名称は「Amazon Web Services」ですが、頭文字をとった「AWS」が一般的な略称として浸透しています。

200を超えるさまざまなサービスで構成されたパブリッククラウドサービスであり、業界ではトップのシェアを誇っています。他のクラウド上のサービスと比較しても長い歴史を持ち、信頼性を高く評価されているWebサービスです。

AWSはクラウド環境で提供されるサービスのため、インターネットをはじめとしたネットワークを経由して利用する必要があります。クラウド型のサービスが普及する以前は、自社にハードウェア・ソフトウェアを導入するオンプレミス環境のシステムが主流でした。オンプレミス型のシステムを利用するためには、企業はサーバーやアプリケーションの導入コストとして高額な費用を支払わなければなりません。そのため、資金面の余裕がない企業にとって、システムの導入は困難でした。

クラウドコンピューティングの普及により、企業は高額な費用を負担することなくシステムを利用することが可能となっています。これにより、多くの企業にとって環境構築が現実的になりました。システムのクラウド化によって浮いたコストを、コアビジネスに充てることもできます。

AWSは企業での利用が想定される豊富な機能をパッケージしたサービスであり、世界中で使用されています。日本においても、オンプレミスシステムのクラウド化、AIを利用したデータ分析、コンテンツ配信など幅広い用途で選択されています。

●AWSによってできること

AWSは多くのサービスの総称であり、さまざまな業務に利用可能です。以下では、AWSによってできる代表的なことを紹介します。

・サーバー構築

オンプレミスで運用していたサーバーをクラウドで構築できます。ファイルサーバーやADサーバーなど、さまざまなサーバーの構築環境として活用されています。コストメリットの大きさから、多くの企業がオンプレミスサーバーの移行先として利用しています。

「Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)」は、AWSの仮想サーバーサービスです。ユーザーが構築したサーバーは「インスタンス」という単位で管理されます。AWS上でWindowsやLinuxのサーバーを構築する場合、Amazon EC2を利用することになります。

・Webサイト構築

AWSを利用して静的なWebサイトの構築ができます。静的なWebサイトとは、アクセスするユーザーやタイミングにかかわらず、表示内容が一定なサイトのことです。管理担当者が少なく、更新頻度が高くないサイトに向いています。企業ホームページや製品ページの構築環境として用いられることが一般的です。

・データ保管

クラウドストレージのような形で、データ保管に利用できます。バックアップデータを保管しておくことも可能です。

AWSでは、「Amazon S3(Simple Storage Service)」というオンラインストレージサービスが提供されています。Amazon EC2のデータとは別途確保されるため、サーバーを停止してもデータが消失しません。

・コールセンター機能の利用

AWSでコールセンターを構築できます。相談・問い合わせの窓口を素早く立ち上げたい場合に適しています。

「Amazon Connect」は、コンタクトセンター用のサービスです。オフィスの電話からの転送を受け、インターネット経由でオペレーターに呼び出しを行います。在宅のオペレーターに転送することも可能です。多くの企業での導入事例があります。

・VDIの構築

AWSでは、外部からアクセスできる仮想デスクトップ環境を構築できます。リモートワークや在宅ワークで便利なサービスです。インターネット経由で作業環境にアクセスしますが、認証されたユーザー以外のアクセスを遮断できるため、セキュリティ面でも安心です。

「Amazon WorkSpaces」というサービスを利用することで、VDIを構築できます。Windowsのほか、Mac、iPad、Androidタブレットなど、さまざまなデバイスをサポートしています。

・BIツールの利用

AWSでは、多くのBIツールが提供されています。「BI」とは、「Business Intelligence」の略称であり、事業におけるデータ収集、および分析を行う取り組みのことです。BIツールとは、BIを実現するためのツールを意味します。

BIツールを利用すると、さまざまなデータの推移を確認できます。また、単なる表では見づらいデータも、BIツールを利用すればグラフ化などで簡単にビジュアライズできます。経営陣や顧客に提出する資料作成に役立ちます。

AWSでは、「Amazon Quicksight」「Tabeleau Server」といったBIツールを利用できます。AWS上で管理しているデータのほか、Ecxelなどで作成しているデータを読み込むことも可能です。

・IoTサービスの構築

AWS上でIoTサービスを構築できます。「IoT」とは、「Internet of Things」の略であり、「モノのインターネット」、すなわちさまざまなモノをインターネットで接続する仕組みを意味します。

IoTを活用することで、遠隔地にあるデバイスを動かしたり、デバイスからデータを集積したりすることが可能です。AWSでは、「FreeRTOS」という機能でデバイスのオペレーティングを行います。また、「AWS IoT Core」「AWS IoT Device Defender」「AWS IoT Device Management」など複数のサービスを駆使して、IoTサービスを実現します。

・AI機能の利用

AWSにはAIを利用した機能も実装されています。機械学習に関する専門知識がないユーザーでも使えるように設計されているため、専任担当者がいない企業でも用意に導入可能です。

例として、顧客の嗜好性を分析する「Amazon Personalize」、過去のデータベースから精度の高い予測を実現する「Amazon Forecast」などが挙げられます。こうした機能を適切に利用することで、これまで以上にビジネスを加速できるでしょう。

●AWS導入におけるメリット・デメリット

AWSの導入にはメリットとデメリットがあります。導入前に、双方を理解しておくことが大切です。AWSの導入によるメリットとデメリットを解説します。

・AWS導入におけるメリット

AWSを導入するメリットは多岐にわたります。

まず、AWSはクラウドベースのサービスであるため、オンラインでアカウントを作成するだけで、その場ですぐに利用可能となります。必要な機能をクラウド上で利用する仕組みなので、物理的なサーバーやストレージを準備する必要がありません。導入時に機器を設置したり設定したりする手間がかからない点は、大きなメリットだといえるでしょう。こうした特徴から、速やかに導入したいケースにも適しています。

また、設備投資の点でもメリットがあります。従来のオンプレミス環境の場合は、サーバーやHDDを購入する必要がありますが、AWSではこれらの設備が不要です。導入が簡単で迅速にシステムを立ち上げられるのはもちろん、高額な初期費用を負担する必要がない点もメリットとなります。また、社内で設備を管理せずに済むので、ハードウェアの管理やメンテナンスにかかる費用の面も、最適化できる可能性があります。

さらにAWSは、セキュリティを最優先事項として取り組んでいます。データは暗号化され、複数のレイヤーで保護されており、また、AWSのセキュリティチームが常に監視・対応しています。さらに、コンプライアンス要件を満たすためのツールやサービスも提供しており、セキュリティの強化を容易に行えます。年々サイバー攻撃の手口が巧妙化する昨今は、利用するサービスのセキュリティ面も重視しなければなりません。

このほかに、拡張性の高さもAWSの魅力のひとつです。リソースのスケーリングが非常に簡単です。需要に応じて、計算能力やストレージの増減を即座に行えます。これにより、ビジネスの成長やトラフィックの変動に柔軟に対応でき、コスト効率も高められます。現状のビジネスの規模に適したサービスを利用して、費用対効果を高めたいケースにもマッチするでしょう。

AWSは高い可用性を提供するために、複数のデータセンター(リージョンとアベイラビリティゾーン)を利用しています。これにより、システムを冗長化し、障害発生時の影響を最小限に抑えることが容易です。例えば、データのバックアップやレプリケーションを簡単に設定でき、サービスの継続性を確保できます。

また、将来性についても高評価されています。AWSは常に新しい機能やサービスを追加し、既存のサービスを改善しています。これにより、最新の技術やパフォーマンス向上を迅速に取り入れることができ、競争力を保ち続けることが可能です。定期的なアップデートにより、システムの性能や機能が常に最適化されます。

・AWS導入によるデメリット

AWSの導入には多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。

AWSは広範なサービスと機能を提供しており、常に新しい機能やサービスが追加されています。そのため、AWSを効果的に活用するには、継続的に情報を収集し、最新のサービスやベストプラクティスに追随する必要があります。AWSの公式サポートページ、ユーザーが公開しているブログなどを活用し、情報を常にアップデートすることが重要です。この情報収集の負担は、特にクラウドの運用に慣れていない企業や担当者にとっては大きな負担となる可能性があります。

また、AWSは従量課金制を採用しており、使用するリソースに応じて料金が発生します。これにより、初期投資が少なくて済む反面、月々の費用が変動しやすく、予算の見積もりが難しいというデメリットがあります。特にリソースの使用量が変動する場合や、新しいサービスを試す際には、コスト管理が難しくなることがあります。利用状況や課金内容を正確に把握し、適切なコスト管理や予算策定を行うためには、AWSの請求書やコスト管理ツールを活用し、定期的にコストの見直しと最適化を行う必要があります。

これらのデメリットの解決策としてパートナーの活用があります。自社で行うよりも最新情報のキャッチアップが容易になり、利用量の可視化や見積もりの手間も減るので、AWS導入の際には併せて検討することがおすすめです。

●AWSで障害が発生するとどうなる

AWSをビジネスで利用する場合、障害は大きな懸念材料となるでしょう。AWSの障害よる影響や、実際に起きた障害の事例について解説します。

・障害によって発生する主な影響

障害が発生すると、特定のAWSサービスが一時的に利用できなくなる可能性があります。これにより、アプリケーションやサービスが一時的に停止し、ユーザーや顧客に対してサービス提供の中断が発生します。例えば、データベースやWebサーバーの停止は、関連するアプリケーションの機能に直接影響を及ぼすことがあります。

また、障害の発生はリソースのパフォーマンス低下も懸念されます。これにより、アプリケーションの応答時間が遅くなったり、処理速度が落ちたりする可能性があります。パフォーマンスの問題は、ユーザー体験に悪影響を及ぼし、ビジネスの信頼性に影響を与える可能性があります。

また、障害によっては、データの損失や整合性の問題が発生する可能性があります。例えば、ストレージサービスの障害により、保存されていたデータが利用できなくなったり、データが破損したりすることがあります。AWSでは、バックアップやデータ復旧の機能を提供していますが、障害発生時の対応に時間がかかる場合もあります。

さらに、障害が頻繁に発生する場合、顧客やユーザーの信頼が損なわれ、ビジネスの評判や収益に悪影響を及ぼす可能性があります。特にクリティカルな業務を行っている企業にとっては、サービスの安定性が重要であり、障害の対応策や予防策が求められます。

・障害の発生事例

2017年に発生した「Amazon S3」の障害は、AWSの複数のリージョンに影響を及ぼしました。この障害では、Amazon S3の一部のサービスが長時間利用できなくなり、さまざまなWebサイトやアプリケーションが影響を受けました。この事例は、クラウドサービスの障害が広範な影響を及ぼす可能性があることを示しており、AWSを利用する際は、Multi-AZ運用やマルチリージョン運用が重要であることが再認識されました。

2018年には、「Amazon Aurora」のデータベースが短時間利用できなくなる障害が発生しました。この障害により、データベースのパフォーマンスが低下し、いくつかのアプリケーションがダウンしました。

2020年には、「AWS Lambda」のサービスに障害が発生し、一部のユーザーがLambda関数の実行に問題を抱える事態が発生しています。AWS Lambdaはサーバーレスコンピューティングを提供しており、この障害によりサーバーレスアーキテクチャの利用に大きな影響が出ました。

AWSの障害においては、冗長構成が重要です。例えば、特定のリージョンでの障害が発生した場合、マルチリージョン構成を採用していれば、他のリージョンにトラフィックを切り替えることでサービスの継続性を確保できます。また、責任共有モデルでは、AWSがインフラの安全性を提供し、顧客はアプリケーションやデータの管理を担うため、双方の役割を理解することが重要です。このように、冗長構成やマルチリージョン戦略は、障害時の影響を最小限に抑える手段となります。

ここまでAWSにおいて障害が発生した際の影響や事例についてご紹介しましたが、AWSはオンプレミスと比べて高度な冗長性と耐障害性を備えており、各リージョンやアベイラビリティゾーンでのサービス提供により、障害が発生しにくい環境が実現されています。実際、過去を振り返っても大きな障害発生は稀であり、多くの企業が安心して利用しています。また、どのサービスにも共通することですが、障害発生を前提とした設計を考えるべきであり、AWSの設計原則に従うことで、さらなる信頼性向上が期待できます。

サーバーワークスでは、運用代行サービスのプランに応じて、障害アラートの通知や障害復旧対応などのサポートも行っているので、お気軽にご相談ください。

  • AWSの障害事例や障害への対策に関する記事はこちら


●AWSの料金体系

AWSの料金体系は従量課金でシンプルなのですが、自由度が高いために複雑に感じることもあるかもしれません。以下では、AWSの料金について主なポイントを解説します。

・AWSの費用が決まる仕組み

AWSは従量課金制を採用しており、使用したリソースに応じて料金が変わります。基本的には「使った分だけ支払う」方式です。リソースを利用しない時間や量に対して料金は発生しません。

・AWSの費用を算出するための要素

AWSの費用はサーバーの料金、ストレージの料金、データ転送の料金に分けられます。

サーバーの料金とは、サーバーのインスタンスを稼働させる料金のことです。インスタンスの種類、サイズ、稼働時間、利用するリージョンによって料金が変わります。また、「オンデマンド」「リザーブドインスタンス」「スポットインスタンス」など、利用方法によっても料金が異なります。

ストレージの料金とは、データの保存に対する料金のことを指します。ストレージの使用量、リクエスト数、データ転送量などによって料金が決まります。

データ転送の料金とは、AWSから外部にデータを送信する際の料金を意味します。データの送信量や送信先によって料金が変動します。VPC内の異なるサブネット間やリージョン間でのデータ転送にも料金が発生する場合があります。

・AWSのコスト最適化の方法

AWSは使った分だけ料金が発生するため、まずは定期的にAWSコンソールを確認し、使用していないリソースを削除することが大切です。

また、購入オプションでコストを軽減する選択肢もあります。「Amazon EC2」や「Amazon RDS」などのリソースは長期間(1~3年)予約することで、オンデマンド料金に比べて大幅に割引されます。計画的に利用するリソースがわかっている場合には有効です。「Amazon EC2」には「スポットインスタンス」という購入オプションがあり、大幅に割引された価格で利用できます。

  • AWSの料金体系について詳しく知りたい方はこちら
  • AWSのコスト最適化を実現するための具体的な方法はこちら

●AWSの利用を検討しましょう

AWSの概要やメリット・デメリット、利用料金などについて解説しました。AWSには多くのメリットがあり、ビジネスに応じた拡張性が高いことから、幅広い用途での活用が期待できます。高いセキュリティを誇り、運用面でも安心です。まずは無料期間で使用感を確かめてみてはいかがでしょうか。



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