AWSの見積もりにおいて確認すべきこと|見積方法とフロー・注意点
この記事でわかること
- コスト削減や業務効率化を目的としたAWSへの移行が注目されている。
- AWSの見積もりを行う際は「AWSへ移行するサーバーの確認」が有効。
- AWSの見積もりを行うためのツールと使用方法。
- AWSパートナーを利用すると、「柔軟なコスト管理の実現」「コスト最適化の提案」が期待できる。
近年、コスト最適化や業務効率化を目的としたアマゾン ウェブ サービス(AWS)への移行が注目されています。従量課金のAWSに以降することで、柔軟なコスト管理が実現できるほか、IT投資全体のROIへの貢献にもつながります。
この記事では、AWSの見積もり時に確認すべきことと見積もり方法、フローと注意点について詳しく解説します。
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※当記事は2024年11月に書かれたものであり、以後に展開された最新情報が含まれていない可能性がございます
●AWSの見積もりを行う際にまず確認すること
AWSでは豊富なサービスが提供されていますが、ここでは代表例として、サーバー構築時の見積もりにおいて確認すべきことを解説します。まず、AWSへ移行する現行環境のサーバー台数やスペック・容量、利用用途を確認します。AWSの初期費用やランニングコストを見積もる際に、現行サーバー情報を参考にすることで、無駄なリソースの購入を防ぎ、より正確な見積もりが可能になります。
また、サーバーの利用用途によって必要なリソースが変わるため、用途にあったスペック・容量であるか確認しましょう。AWS移行時にサーバー構成を見直したいと考えている場合も、新しいサーバー情報を整理しておくとスムーズに見積もりを行うことができます。
●AWSの見積もりを行う方法
自社で算出する場合は、AWSが提供している公式ツールAWS Pricing Calculatorを使用します。
AWS Pricing Calculatorを使用する際に、現行サーバー情報をもとにすれば、AWS利用料を迅速かつ正確に算出できます。具体的には、AWSの各サービスを詳細に見積もることで、1ヶ月あたりのAWS利用料を把握します。
ほかにも、複数のシナリオを作成して比較することができるため、コスト最適化にも役立ちます。
・AWSの課金要素を確認
AWSの利用体系は従量課金制です。そのため、どのくらいのサーバースペックを持つAmazon EC2インスタンスを何時間利用するかによってAWS利用料が異なります。
以下にAWSサービスの課金要素の例を示します。
AWSサービス | 課金要素 |
---|---|
サーバーのスペック | 使用するCPUやメモリ数によって1時間あたりの利用料が変わります。 |
ストレージ | 1ヶ月に何GB利用したかでストレージ利用料が異なります。また、ストレージの保管先(Amazon S3やAmazon EBS)により料金が変わります。 |
データ通信料 | 1ヶ月で何GB通信したかにより、データ通信料が異なります。 |
・AWS Pricing Calculatorの利用方法
AWS Pricing Calculatorの使い方をステップごとに解説しますので、ぜひ参考にしてください。
STEP.1 事前準備
まず、Googleなどのブラウザを開き、AWS公式サイトにあるAWS Pricing Calculatorにアクセスします。
見積もりを算出する前に、AWS Pricing Calculatorの言語表記を日本語にしましょう。
AWS Pricing Calculatorの画面右中央の「Language」を「日本語」に変更します。英語表記だったAWS Pricing Calculatorが日本語に翻訳されるため、後続処理の負担を減らすことができます。
参考:AWS Pricing Calculator
https://calculator.aws/#/
次に、画面上部の「見積もりの作成」ボタンをクリックし、AWSサービスごとの見積もりを作成しましょう。
ロケーションタイプより、リージョンを選択します。リージョンとは、データセンターが配置されている地域のことで、リージョンにより使用できるAWSサービスや料金が異なります。そのため、実際に使用予定のリージョンを選択し、見積もりを精緻化することがポイントです。
続いて、使用予定のAWSサービスを選択します。
画面左側に表示されるサービス一覧から利用予定のAWSサービスを選択し、画面項目に沿って詳細なパラメータを入力することで、見積もりが即時に算出されます。
仮想サーバーであるAmazon EC2であれば、まずLinuxやWindows Server、RHELなどのOSから、xlargeなどのインスタンスタイプやvCPU数、メモリ容量などの入力が必要です。
RDSではデータベースの種類やスペック情報を、VPCではサブネット数や接続数を入力します。
ほかにも、ストレージ容量やストレージタイプ、月間のデータ転送量など、事前に調査した現行情報に基づいて順次入力します。
STEP.3 合計金額を確認する
利用予定の各サービスの入力が完了し、見積もりの内容が確定したら、画面右上の「エクスポート」ボタンをクリックします。
見積もり結果は、PDFやCSVのドキュメント形式でダウンロードができます。また、作成した見積もりをAWS Pricing Calculator上で保存できる共有リンクも提供されるため、社内共有や修正、再利用が可能です。
※クライアント様:「AWS Pricing Calculatorの利用方法」について、ユーザーにとってのわかりやすさ向上のため、可能であれば上記イメージ画像のような「各手順が分かる画像」を新たにご用意の上、ご挿入ください。なお、本構成案に添付したイメージ画像は他社サイトに掲載されているもののため、画像挿入後に削除をお願いいたします。
※ライター様:ライティング時に「各手順が分かる画像」を他サイトから引用して挿入してください。本画像はクライアント様にご調整いただきます。
・AWSパートナーに依頼する
自社で見積もりを行う余裕がない場合は、AWSパートナーに依頼しましょう。
AWSパートナーに依頼すれば、AWS導入にかかる時間や手間を削減し、さらにコスト最適化の提案も受けられますので、毎月のコスト削減が期待できるでしょう。
例えば、毎月の想定されるトラフィック量やディスク使用量、一時的な負荷増加などのユースケースを基に、コスト効率のよい支払いオプションやプランなどの提案が期待できます。また、AWSパートナーを利用することで支払方法が柔軟になり、AWS利用料の割引を受けられることもあります。
さらに、コスト観点だけに限らず、ベストプラクティスに沿った構成設計のサポートやレビューも受けることができるので、自社で見積もりを行うことに課題感を感じている企業の担当者の方は、AWSパートナーに相談してみることをおすすめします。
サーバーワークスのAWS請求代行サービスでは、お客様のご利用状況に応じて、コスト最適化が可能な4つのプランをご用意しています。
コストの観点だけでなく、一部のプランではAWS運用自動化サービス「Cloud Automator」の無料提供や、その他の支援サービスも行っているので、お気軽にご相談ください。
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●AWSの見積もりに関する注意点
AWSを正確に見積もることは、コスト管理やリソースの最適化につながります。
AWSのサービスは種類が多く、料金体系もAWSサービスごとに異なるため、見積もりを行う際には次の注意点を押さえておきましょう。
1つ目は、リージョン設定を確認することです。
AWSは世界中に複数のリージョンがあり、リージョンごとに利用料が異なります。日本の場合、東京と大阪にリージョンがあり、どちらも米国と比較すると利用料が高い傾向にあります。
地理的な制約がない場合、料金の安いリージョンを選択することでコスト削減が可能です。そのため、システムに適したリージョンを選ぶことが重要です。
2つ目は、必要なスペックを検討することです。
AWSを利用する場合も、サーバーやストレージなどのスペック要件は、コストに直結します。
高パフォーマンスを要するシステムの場合、スペックの高いインスタンスを選択するケースが多いのですが、必要以上のスペックを持つインスタンスを選んでしまうと、無駄なコストが発生します。反対に、低すぎるスペックを選択するとシステム全体に負荷がかかり、正常なパフォーマンスを発揮できないことで、ビジネスに大きな影響を与える可能性があるでしょう。
3つ目は、自社のフローに合った支払方法なのかを確認することです。
AWSでは、オンデマンドやリザーブドインスタンスなど、さまざまな支払い方法が用意されています。他にもSavings Plansという、利用料を前払いすることで想定した使用料を予約できるプランや追加分のみ購入できるプランもあります。
それぞれの割引率を確認しながら、自社の予算に合わせた支払い方法を選択し、長期的にコストを抑えることを検討しましょう。
●AWSの活用において、押さえておきたい見積もりのポイント
AWSの見積方法と見積もり時に確認すべきことなどについて解説しました。AWSの見積もりでは、現行サーバー情報を正確に把握し、AWS Pricing Calculatorを用いて複数のシナリオを比較することが重要です。
AWSでは、無料枠を用意しているサービスもあるため、有効に活用することでコストの削減が可能になります。また、AWSは米国のサービスであることから、支払い方法によってはUSDになるため、為替リスクを考慮し予算を組みましょう。
AWSの見積もりに関してお悩みがある企業の担当者の方は、AWSパートナーへの外部委託を検討することをおすすめします。
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