AWSの請求代行とは?利用するメリット・デメリット、選び方のポイント
AWSパートナーが提供するアマゾン ウェブ サービス(AWS)の利用料の支払いを代行できるサービスは、支払いを簡単にできることから、多くの日本企業で利用されています。料金を最適化できる点や、運用サポートが受けられる点などが主なメリットです。一方で、デメリットも存在するため、AWSの利用を検討している企業はぜひ確認しておきましょう。
本記事では、AWSの請求代行サービスについてご紹介します。毎月の請求業務の課題を解消するために、担当者の方は参考にしてみてください。
・AWSの概要を詳しく知りたい方はこちら
※当記事は2024年11月に書かれたものであり、以後に展開された最新情報が含まれていない可能性がございます
●AWSの請求代行サービスとは?
初めに、AWSの請求代行サービスの基礎知識を解説します。
AWSの請求代行サービスとは、毎月発生するAWSへの支払いをAWSパートナーが代行するサービスのことです。
AWSを利用する場合、通常はAWSと直接契約して支払いを行います。AWSの料金システムは利用料に応じた従量課金制となっており、ユーザーは、以下の2種類の支払方法から選択することになります。
- クレジットカード決済(日本円)
- 海外送金の請求書払い(米ドル)
AWS請求代行サービスを利用すると、この支払方法を変更できます。その他、直接契約の場合とはサポート面で違いがあり、日本でも多くの企業に利用されています。
●AWSの請求代行を利用するメリット
AWSの請求業務に関して課題を感じているなら、請求代行の利用を検討すると良いでしょう。請求代行を利用する代表的なメリットとして、以下の3点が挙げられます。
- 日本円で請求書払いができる
- AWSパートナーから独自のサポートを受けることができる
- RIやSPを利用してコスト最適化ができる
それぞれのメリットについて解説します。
・日本円で請求書払いができる
AWSの請求代行サービスを利用する代表的なメリットは、日本円での請求書払いができる点です。
日本の企業にとって決済方法として最も馴染み深いのは、銀行振込で後払いする請求書払いでしょう。しかし、AWSと直接契約した場合、日本円での請求書払いは利用できません。国内企業にとって、商習慣に定着している支払方法を利用できない点は、AWS導入に踏み切る上での大きな悩みになっています。
一方、AWS請求代行サービスと契約した場合、AWSパートナーがAWSへの支払を代行します。AWSを利用している企業は、AWSパートナーに請求書払いで利用料金を支払えば問題ありません。このことから、請求書払いでAWSを利用したいという企業に重宝されているのです。
・AWSパートナーから独自のサポートを受けることができる
2つめのメリットとして、AWSパートナーからのサポートを受けられる点が挙げられます。パートナーによっては、支払いの代行だけではなく、AWSの運用に付随したサービスを提供しています。
サーバー設定の方法や、各種サービスの利用方法に関するガイダンスなどは代表例です。日本語でのサポートを受けられる点も安心につながります。特にそれまでAWSの利用実績がない企業にとっては、こうしたサポートが助けになるでしょう。
・RIやSPを利用してコスト最適化ができる
続くメリットは、費用の最適化が期待できる点です。
請求代行サービスを提供するAWSパートナーは、Reserved Instance(RI)やSavings plan(SP)の適用によるコスト最適化をサポートしています。パートナーによっては、オンデマンドからどれだけコストが低減できるか試算することも可能です。
費用を最適化できれば、新しいインフラの整備に予算を充てることも可能になります。コスト最適化に注目して請求代行サービスを選ぶことも重要です。
●AWSの請求代行を利用するデメリット
AWSの請求代行サービスを利用すると多くのメリットがあるものの、以下のようなデメリットもあります。担当者の方はデメリットも確認しておきましょう。
- 無料枠を利用できない
- 一部のサービスを利用できなくなる
- サポート利用時にタイムロスが発生する可能性がある
各デメリットについて紹介します。
・無料枠を利用できない
AWSの請求代行サービスを利用する場合、AWSと直接契約する場合に提供される無料枠は利用できません。
AWSの無料枠とは、以下の3種類を指します。
- 無料トライアル
- 12カ月の無料利用枠
- 無期限の無料利用枠
利用するサービスによって、提供される無料枠は異なります。トライアルでは、AWSの使用感を確かめられます。いずれの利用枠でも対象となるOS、インスタンスは制限されるため、AWSのサービスすべてが無料になるわけではありません。
なお、この無料枠は、あくまでAWSと直接契約した場合のみに提供されます。請求代行サービスを利用する場合、AWSパートナーを挟んだ間接的な契約となるため、無料枠は使えません。よって、AWS利用の初期費用を抑えたい場合には注意が必要です。
・一部のサービスを利用できなくなる
AWS請求代行サービスを利用すると、AWSの一部サービスを利用できなくなる可能性があります。
一般的に請求代行サービスは、AWSパートナーがルートユーザーとしてAWSと契約し、ユーザー企業にIAM(Identity and Access Management)ユーザーのアカウントを提供する仕組みが多く見受けられます。ルートユーザーとIAMユーザーでは、権限が異なります。そのため、請求代行サービスの利用時とAWSを直接契約した場合と比較すると、利用できるサービスな機能に違いが生じます。
ただし、多くのAWSパートナーは利用できないサービスに対して代替手段を用意しています。
特定のサービスや機能を必要とする場合は、利用可能な代替手段があるかパートナーに確認することが重要です。
・サポート利用時にタイムロスが発生する可能性がある
AWS請求代行サービスを利用する場合、サポートの提供が遅れ、タイムロスが生じる可能性があります。
AWSと直接契約する場合は、サポートの問い合わせをユーザー自身が行います。そのため、AWSからダイレクトに回答が得られます。なお、利用しているサポートプランによって内容や対応時間は異なります。
それに対して請求代行サービスを利用する場合は、AWSパートナーが問い合わせの第一次窓口となります。この際、AWSパートナーだけでは解決できず、AWSへのエスカレーションが発生する場合は、タイムロスになってしまう可能性があるのです。
障害対応の迅速さが重要なシステムを運用する場合は、代行サービスが提供するサポート体制と、エスカレーションポリシーを事前に確認することをおすすめします。
●AWSの請求代行サービスを選ぶためのポイント
AWSの請求代行サービスは以下のようなポイントに注目して選ぶことをおすすめします。
・手数料
AWSの請求代行サービスを選ぶ際は、手数料に注目しましょう。手数料の金額は提供サービスに応じて異なります。有料のサービスは、AWS利用料の10%程度が相場です。
・割引率
割引率は、請求代行サービス利用時のコスト削減に直結します。各サービスが提供する割引率は異なるため、しっかり比較することが大切です。また、長期契約を結ぶことで追加の割引が得られる場合もあります。これらを考慮して、トータルのコストメリットを最大化しましょう。
・サポート(特典)内容
請求代行サービスを利用することで、「運用自動化ツールの提供」「日本語でのサポート対応」「定期的なコスト最適化の提案」といった追加のオプションや特典が得られることがあります。企業のAWS利用の効率性を高める要因となるため、サポート内容をしっかり確認しましょう。
・支払いの利便性
支払方法の利便性は、請求代行サービス選定時の重要なポイントです。クレジットカードや銀行振込など、さまざまな支払方法に対応しているかを確認します。また、請求書のフォーマットが自社の経理システムに適しているかも考慮し、スムーズな経理処理を実現できるサービスを選びましょう。
・運用実績
運用実績は、請求代行サービスの信頼性を判断する基準となります。過去にどれだけの顧客にサービスを提供してきたか、成功事例や顧客の評価を調査しましょう。特に、業界内での評判やレビューも参考にすることで、自社に最適なサービスを見つける手助けとなります。
また、パートナーランクに注目することも大切です。AWSパートナーランクは、技術力や実績に基づくランク付けです。高ランクに認定されたパートナーは、豊富な経験と専門知識を持っているため、より信頼性が高いとされています。
パートナーランクの高い企業であれば、柔軟性の高いサポートが期待できます。ネットワークの課題やセキュリティ対策などについて相談することも可能です。自社の希望に合わせて、適切な運用の提案を受けられます。
●AWSの支払問題を請求代行サービスで解決
ここまで、AWSの請求業務の課題解消につながる請求代行サービスについて解説しました。AWSで請求書払いをしたい場合は、請求代行サービスを利用しましょう。そのほか、サポートサービスが受けられる、AWSの利用料金を最適化できるといったメリットもあります。
複数のAWSパートナーがあるため、手数料や値下げ率、サポートの内容に注目して選ぶことが大切です。自社にとって最適なAWSパートナーを見つけましょう。
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