AWSのサーバー構築|期待できる効果や構築の流れ、注意点
アマゾン ウェブ サービス(AWS)は多様なクラウドサービスを提供しています。サーバー構築のサービスもその一つです。AWSを導入し、サーバー構築のサービスを活用すると、従来の環境と比べてどのようなことが期待できるのでしょうか。
この記事では、サーバーの構築に必要なサービスや、導入によって期待できること、注意点など、AWSのサーバー構築に関する基本的な知識について解説します。AWSのサーバーを構築する利点や構築方法を確認したいご担当者様は、ぜひ参考にしてみてください。
・AWSの概要を詳しく知りたい方はこちら
※当記事は2024年11月に書かれたものであり、以後に展開された最新情報が含まれていない可能性がございます
●AWSのサーバー構築の基本構成に必要なサービス
初めに、AWSのサーバー構築の基礎知識として、基本構成に必要なサービスをご紹介します。AWSでサーバーを構築する際には、以下のサービスを組み合わせて利用することになります。
・Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)
Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)は、AWS内で仮想サーバーを構築できるサービスです。750以上のインスタンスオプションが提供されており、ユーザーのニーズに合わせた仮想サーバーを容易に構築できます。設定は簡単で、10分程度で仮想サーバーを立ち上げられるため、迅速な実装が可能です。さらに、仮想ファイアウォールも備わっており、受信トラフィックと送信トラフィックを制御することができます。
・Amazon VPC(Virtual Private Cloud)
Amazon VPCは「Amazon Virtual Private Cloud」の略称であり、AWS内にプライベートなネットワーク空間を構築できるサービスです。VPC上にAmazon EC2やAmazon RDSなどのサーバーを配置することで、自社専用の仮想ネットワーク環境を実現します。さらに、同じAWSアカウントで複数のVPCを作成できるため、システムごとや災害対策のため、2つ以上のリージョンにVPCを用意することが可能です。
・インターネットゲートウェイ
インターネットゲートウェイは、Amazon VPCとインターネットを接続するサービスです。このサービスを利用することで、VPC内のリソースがインターネットと双方向で通信できるようになります。基本的にはVPC内に構築したサブネットに設定され、IPv4およびIPv6トラフィックの両方をサポートします。これにより、インターネットでのアクセスが可能になります。
・ALB(Application Load Balancer)
ALB(Application Load Balancer)は、AWSが提供する負荷分散サービスです。トラフィックが集中するとサーバーが処理しきれなくなるリスクがありますが、ALBを使用すれば自動的に分散処理できます。ターゲットとなるAmazon EC2インスタンスやIPアドレス、コンテナに対して、正常なリソースに自動的にトラフィックを分配し、大量のリクエストにも耐えられるシステムを構築できます。ALBはURLに基づいてルーティングが可能で、アプリケーションごとに個別の設定をする必要はありません。
・Amazon RDS(Relational Database Service)
Amazon RDS(Relational Database Service)は、AWSが提供しているリレーショナルデータベースサービスです。ユーザーは、Amazon Aurora、PostgreSQL、MySQL、 MariaDB、 SQL Server、 Oracle、 Db2など、さまざまなデータベースエンジンの中から選択することができます。自動バックアップや自動パッチ機能が搭載されており、データの保管や運用に適しています。
●AWSのサーバー構築によって期待できること
AWSでサーバー構築を行うと、以下のようなことが期待できます。AWSの導入を検討している担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
・インフラ設備の管理が不要になる
AWSを利用することで、サーバー構築に関する物理的なインフラ設備の管理から解放されます。物理サーバーの設置、保守、アップグレードの手間から解放され、本来のビジネスに集中できるようになります
・コスト削減・最適化が図れる
AWSは従量課金制の料金システムとなっており、実際に使用したリソースに応じて料金が発生します。このため、必要なときに必要なだけリソースを利用でき、コストの最適化を図ることができます。さらに、スケールイン(リソースの削減)やスケールアウト(リソースの追加)が容易なため、トラフィックや需要の変動に応じて迅速にリソースを調整できます。AWSが提供する予測ツールやアラート機能を活用し、コスト管理を徹底することが重要です。
・障害への対策ができる
AWSでは、可用性を確保するための多くの機能が提供されています。例えば、複数のアベイラビリティゾーン(AZ)にリソースを分散配置することで、単一の障害に対する耐性が向上します。また、自動バックアップや復旧機能を利用することで、データの安全性も確保され、障害が発生した際の迅速な復旧が可能です。
さらに、AWSを利用することで、BCP対策も容易になります。災害が相次いでいる日本において、BCP対策はあらゆる企業に必要だといえます。異なるリージョンにデータのレプリケーションを行って地理的なリスクを軽減する仕組みは、AWSのBCP対策の代表例となっており、この対策によって、万が一の災害の際も事業を継続できます。
●Amazon EC2を用いてAWS上にLinuxまたはWindowsサーバーを構築する流れ
ここでは、冒頭の見出しでご紹介したAmazon EC2を用いてAWS上にLinuxまたはWindowsサーバーを構築する流れを解説します。一般的に以下のような流れで構築します。
・AWSアカウントを作成する
サーバーの構築を含め、AWSのサービスを利用するためにはアカウントが必要です。公式サイトにアクセスし、メールアドレスやパスワードを登録してアカウントを開設します。その際、支払い情報も入力する必要があります。AWSは一定の利用量まで無料で使えるプランを提供しているため、初期費用を抑えることも可能です。
・Amazon VPCを作成する
AWSマネジメントコンソールにログインし、東京やロンドンなどのデータセンターのある地域を選択します。ユーザーに近い地域を選ぶことで、レイテンシーの低減が期待できます。
次に、選択したリージョンでAmazon VPCを作成します。その際、タグの名前は任意で問題ありません。続いて、Amazon VPCに基づいてVPC IDやサブネット名、IPv4 CIDRを指定し、ネットワークを分割するためのサブネットを設定します。その後、Amazon VPCをインターネット経由で利用可能にするため、インターネットゲートウェイを作成します。
・Amazon EC2インスタンスを作成する
Amazon VPCが設定できたら、次はAmazon EC2(Elastic Compute Cloud)インスタンスを作成します。作成後、コンソールの「インスタンス」から、以下の項目を設定します。
- AMI
- インスタンスタイプ
- ネットワーク設定
- プライマリIP
- セキュリティグループ
- キーペア
これらの項目の設定完了後、「インスタンスを起動」をクリックしましょう。インスタンスの起動後、ターミナルソフト経由でのSSH接続が可能となります。
●Amazon EC2を用いてAWS上にLinuxまたはWindowsサーバーを構築する際の注意点
オンプレミスサーバーと比較して、Amazon EC2を用いてAWS上にLinuxまたはWindowsサーバーを構築する際には多くのメリットがあります。一方で、注意点もあるため、導入する際は慎重な判断が求められるでしょう。
ここでは、オンプレミス環境からの移行で押さえておきたい注意点を紹介します。
・コストの予測が難しい
コストの予測が立てにくい点に注意が必要です。AWSは従量課金制を採用しており、サーバーへのアクセス数や利用状況に応じて料金が変動します。そのため、事前に正確なコストを見積もることは困難です。AWSがインフラ設備を提供しているため初期投資は軽減できますが、利用状況によってはランニングコストが増大するかもしれません。コスト最適化の意識を持たなければ、オンプレミスと比較して割高になってしまうケースも考えられます。
・サーバー構築に関する知識が必要
Amazon EC2を用いてAWS上にLinuxまたはWindowsサーバーを構築する場合、AWSに関する専門的な知識が求められます。AWSの管理画面を利用すれば比較的簡単にサーバーを立ち上げられますが、AWSが提供するさまざまなサービスや機能についての理解は不可欠です。そのため、自社に専門的な知識を理解する人材を確保する必要があります。
・セキュリティ対策は自社で行う必要がある
オンプレミスでも同様ですが、セキュリティ管理に関しては自社で責任を持って対策を講じる必要があります。AWSを利用しているからといって、すべてを委託できるわけではありません。AWSは「責任共有モデル」を採用しており、利用者にも能動的なセキュリティ対策が求められます。
サーバーワークスではセキュリティ運用の負荷を軽減させるためのサービスも提供しています。セキュリティ対策でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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●AWSの利点・注意点を理解した上でオンプレミス環境からの移行を
ここまで、AWSの利用を検討している担当者の方へ向けて、AWSのサーバー構築の基礎知識をお伝えしました。Amazon EC2を用いてAWS上にLinuxまたはWindowsサーバーを構築する際は、コスト予測の難しさや専門知識の必要性、セキュリティ対策の責任が求められます。一方、物理インフラの管理が不要となり、コスト最適化やBCP対策も実現しやすくなります。オンプレミス環境や他社サービスからの移行を検討する際は、これらの利点と注意点を十分に理解し、計画を立てることが重要です。
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