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AWS移行の事例

中京大学様

開学以来60余年、東海地区で最多の学部数となる11学部18学科11大学院研究科を擁する総合大学。名古屋都心部からのアクセスに優れ、文教地区に位置する名古屋キャンパス(愛知県名古屋市)と、最先端のスポーツ施設など特別な教育・研究施設が充実している豊田キャンパス(愛知県豊田市)の両キャンパスにおいて、約1万3000名の学生が学び、卒業生は12万名におよぶ。建学の精神である「学術とスポーツの真剣味の殿堂たれ」のもとで、教育・研究とともにスポーツ活動の推進を目指している。

オンプレミスシステムの強化・延命にAWSを活用

中京大学におけるAWSの利用状況について教えてください。

学術情報システム部で管理している範囲となりますが、主に「ライセンス管理サーバー」、「LMS (教育支援システム:Learning Management System) 」、「公式ホームページ」などのインフラとしてAWSを利用しています。さらに、特定用途のみ利用する「メールサーバー」などもAWSを利用しています。各システムの詳細な利用状況は次の通りです。

ライセンス管理サーバー

サーバーワークスにAWSの設計・構築を依頼した最初の案件となりますが、学内で利用しているソフトウェアライセンスを管理するサーバーとなります。システムとしてはとてもシンプルなもので、AWSで運用する以前はクライアントPC環境で運用していました。

24時間365日、フルタイムでの稼働は不要なので、サーバーワークスのAWS運用自動化サービス「Cloud Automator」を利用して、平日の9時から17時の間だけ稼働するようにしています。AWSではサーバーが稼働している時間だけ課金されるので、利用コストを最小限に抑えることができます。

LMS

LMSとは、オンラインでの教材や課題の配信ならびに、レポートの提出など、学習を支援するシステムです。これまで約6年間、オンプレミス環境で運用してきたサーバーの保守が延長できなくなったため、システムの延命策としてインフラをAWSへと移行しました。 このシステムにおいても、夜間のメンテナンス時間帯に、不要なサーバーを停止させ、利用コストの削減に努めています。

LMSの大幅なシステム更新を2017年に控えており、新システムで必要となるCPUやメモリー等の資源は、現時点で確定できないため、新システムに合わせたオンプレミス環境を構築できません。また、オンプレミス環境を導入すると償却期間が終了するまで機器の更新や拡張が難しくなってしまいます。AWSを利用することで、最小限の資源でシステムを延命し、必要に応じていつでもシステムを刷新できる環境を実現することができました。

公式ホームページ

公式ホームページに関しては、現在インフラの移行作業を行っているため、旧ホスティング環境とAWSで並行運用しています。AWSへのインフラの移行は、多額の機器調達費用やシステム構築の手間をかけず、AWS自体の信頼性やセキュリティ環境を活用すると同時に、アクセスが急増した場合でも安定的にサイトを運用できる環境を実現するためのものです。ホームページの担当者からすると、これまでシステム拡張が難しかったので、コンテンツに合わせたシステム最適化が実現できていませんでした。そのため、AWSへの移行を決め、データベースにはAmazon Auroraを採用しました。

アクセスが急増するのは、悪天候や災害等発生時の休講情報閲覧がほとんどです。平常時はアクセスが多いわけではないので、AWSを利用することで、ピーク時に合わせて余裕を持ったシステムを構築する必要がなくなり、導入ならびに運用コストを抑えることができると試算しています。

メールサーバー

大学全体で利用するような規模のものではありませんが、AWSの設定も含め約2時間というわずかな時間でメールサーバーを立ち上げることができました。

中京大学のシステム構成概要

中京大学のシステム構成概要

クラウドを活用しつつ、外部環境変化に対応できるシステム構築

AWSを利用するにいたった経緯を教えてください。

学校法人梅村学園 中京大学 学術情報システム部 情報システム課 係長 橋詰 正崇氏

学校法人梅村学園 中京大学
学術情報システム部 情報システム課
係長 橋詰 正崇氏

AWSなど信頼性が高く、機能も優れ、多額の導入費用を投資せずに利用できるクラウドが普及し、大企業はもちろん、国内外の教育機関においても採用されるケースが増えてきました。

クラウドを利用することは、時間と手間をかけずにインフラ環境を準備でき、さまざまな外部環境の変化にも柔軟かつ迅速に対応できるようになるというメリットがあると考えています。

一方、クラウドにコスト削減効果を期待する声もありますが、常時稼働が求められるシステムおいては、個人的に懐疑的なイメージを持っています。オンプレミスなど他の環境と比較した場合、利用する機関によって判断が分かれると考えています。もちろん、システム拡張/縮小が容易にできるので、詳細なシステム資源の試算や設計が不要で、コスト管理もしやすく、信頼性の高いインフラやセキュリティ環境を利用できます。それにともない、迅速なシステムの立ち上げや、最小限で稼働開始からシステム拡張ができるメリットもありますので、このような目に見えないコストも総合的に捉えれば、コスト面でクラウドに期待するところは少なくありません。

現在では、劇的に変化する外部環境に対応するため、システムのスクラッチビルドをやめようと考えており、SaaS利用、PaaSもしくはIaaSとパッケージシステムでのサービス実現性をまず検討するようにしています。もちろん、向き不向きがありますのでクラウドか、オンプレミスなのか、どのクラウドを利用するのかはケースバイケースで判断するのが前提となります。

「SINET」と接続できることがAWSを選んだポイント

AWSを採用している理由を教えてください。

クラウドと銘打っていても、ホスティングの延長のようなサービスも見受けられます。提供されるサービスと品質、費用、信頼性、堅牢性などを見ると、現段階ではAWSが他のクラウドよりも一歩抜きん出ていると考えています。

また大学としては、さまざまなセキュリティやファシリティの第三者認証を受けていること。そして、日本全国の大学、研究機関等の学術情報基盤として、国立情報学研究所(NII)が構築、運用している学術情報ネットワーク「SINET」とAWS Direct Connectにより接続できることが、AWSを選ぶ大きなポイントとなりました。

なお、本学でAWS Direct Connectを採用したときは、ちょうどSINET4からSINET5へと切り替わる時期と重なってしまい、本学がSINET5経由でAWSを接続した初めての利用機関だったかもしれないという話を聞いたことがあります。

誰でもAWSを活用したシステムを構築できるようにするためにサポートベンダー必須

サーバーワークスは、どのような役割を果たしていますか。

サーバーワークスには、AWSの設計・設定・監視・保守、そしてAWS上でのシステム構築の際のアドバイスをお願いしており、本学への情報提供だけでなく、インフラ上にアプリケーションを導入・構築するベンダーからの問い合わせにも対応してもらっています。

サーバーワークスにサポートを依頼している理由を教えてください。

第一に、課金代行を利用するためです。続いて、学内の限られた資源をアプリケーションの企画や設計にできるだけ集中させるためです。サポートを依頼することでインフラの設計・設定・監視・保守の負担を軽減できると考えています。また、インフラの構築・運用に関するハードウェア面だけでなく、ソフトウェア面も含めて専門家に任せることができれば、迅速かつ確実にインフラを立ち上げ・運用でき、クラウドを採用した成果をより大きなものにできます。

また、クラウド、特にAWSの良いところでもあるのですが、技術面での進化が速く、またAWSならではの言い方や考え方があるので、そのすべてを学内でフォローしていくのは現実的ではありません。仮にAWSのスペシャリストを学内で育成するにしても、時間もコストもかかり、結果的に属人化してしまうなど弊害を招いてしまいます。

本学では、システムごとに担当者が異なりますので、サーバーワークスのような専門的なサポートベンダーから支援を受けることで、誰でもAWSを活用したシステムを構築できると考えました。

サポートベンダーとしてサーバーワークスを選んだ理由を教えてください。

サーバーワークスは、アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社に対してもものが言えるAWSプレミアパートナーとして紹介を受けました。もう一社、候補もいたのですが、サーバーワークスの担当者は積極的に情報を提供してくれましたし、相談したいときにすぐに連絡をしてくれたので、自然と信頼関係が生まれていきました。個人的な感想ですが、サーバーワークスとは「縁」があったと思います。

もちろん、技術力が高く、経験や実績が豊富で、「 Cloud Automator」のようなサービスも提供しているという点も高く評価しています。

サーバーワークスへの評価と今後の期待

AWSを利用する上で苦労したことなどはありませんでしたか。

苦労とは少し異なるかもしれませんが、クラウドのスピード感や作法には最初は戸惑い、驚きました。たとえば、従来であればインフラの仕様を決める際に、ハードウェア、ネットワーク、セキュリティと順を追って実施できました。しかし、AWSの場合はハードウェア、ネットワークやセキュリティの仕様まで一括で設定できるため、詳細かつ迅速に物事を進めなければなりません。しかも、設定を依頼すれば、すぐにインフラが出来上がってきますので、ハードウェアの納品までに数か月かかるといった余裕もありません。

一度経験すれば慣れるのですが、最初はそのスピードに頭が付いていけず、サーバーワークスの対応がプレッシャーと感じるようなこともありました。そういう意味では、従来のSIerとサーバーワークスの反応や対応はまったく異なります。

また、従来は初期費用のボリュームが大きく、次年度以降は一定の運用・保守費用がかかるという考え方ですが、クラウドの場合、初期費用は抑えられるけれども、運用・保守費用が増えていくこともあります。この場合、インフラとアプリケーションの費用感が一致しないので、明確に説明をしないと誤解を招きかねないケースもありました。この点も、注意が必要だと思います。

さらに、クラウドに対する直接的な部分ではないのですが、これまでインフラからアプリケーション、設計・構築から保守・運用までシングルベンダーで対応してもらうケースが多かったので、AWSを採用したマルチベンダー環境だと意思の疎通がこれまで以上に必要だと感じました。

では最後に、サーバーワークスへの要望や期待があればお聞かせください。

クラウドならではの惑いのようなことも話をしましたが、誤解を恐れず言えばクラウドの活用は一つの挑戦です。次から次へと新しいサービスが登場し、機能も進化しますので、使いものになるかどうかの判断が常に求められます。

たとえば、Amazon Auroraの採用も挑戦と言えるかもしれません。この十数年リレーショナルデータベースの運用技術に劇的な進化はほとんどなく、Amazon Auroraのような存在はその殻を打ち破る可能性を持っていると考えています。挑戦をしなければいつまでも枯れた技術にしがみついていかなければならず、それではシステムの進化は止まってしまいます。

AWSの活用を、「失敗しない挑戦」としていくためにも、サーバーワークスに期待するところは少なくありません。最近、正式に名古屋オフィスも開設されたので、これまでと変わらない機動力、そしてこれまで以上にきめの細かいサービスに期待しています。

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※ この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。

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