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インテージテクノスフィア様 トップ対談

インテージテクノスフィアのミッション

大石:
まずは、インテージテクノスフィアについてご紹介ください。
饗庭氏:

インテージテクノスフィアは2014年4月に設立した、インテージグループの中でITを担う事業会社です。会社のミッションは2つあります。インテージグループのマーケティングリサーチのビジネスは、ITなしでは成り立ちません。そこでITを強化しグループの主たる業務であるマーケティングリサーチを成長させる。つまりグループ向けのITというのが1つ目のミッションです。

ただし、日本ではマーケティングリサーチ市場がそれほど広がっていません。その中でビジネスを成長させるには、これまでと異なる取り組みも必要です。私たちはこれまでも、データを活用するビジネスを行ってきました。そこで企業のデータ活用のために、ITシステムを構築し提供する。この外向きのITが、もう1つのミッションです。

インテージテクノスフィアがクラウドを選んだ理由

大石:
これら2つのミッションを遂行するには、クラウドの活用は必須ですか?
饗庭氏:

私たちは、自前のデータセンターを持っています。早い段階からITの最適な配置を考えてきました。そのため、世の中が仮想化に向かい始めた2006年頃には、サーバーのほとんどを仮想化しました。新しい技術に対して積極的に取り組んでおり、その中でクラウドについても早くから検討してきました。

2010年頃にはアマゾン ウェブ サービス(AWS)を含めさまざまなクラウドが登場しました。私たちはいち早くそれらを評価し、ビジネスにおいてメリットがあると判断しました。もちろん目的によってオンプレミスのほうが良い場合もありますから、それらをうまく使い分けています。

大石:
自前のデータセンターがある中でクラウドを使うとなれば、社内ではさまざまな議論もあったのではないでしょうか?
饗庭氏:
自前のデータセンターのリソースを埋めることは、運用効率上は重要です。一方で、データ量が増え、新たなビジネスに取り組む機会も多く、先を読むことが難しい。先が読めない中では、なかなか大きな投資ができません。時間をかけてどう投資すれば良いかを判断したい。その際には、小さい投資で始められるクラウドをうまく使うべきだと考えました。

クラウド利用のセキュリティリスクについて

大石:
マーケティングリサーチのビジネスでは、顧客の重要なデータをお預かりすることも多いでしょう。外部クラウドの利用で、セキュリティに対する懸念は出ませんでしたか?
饗庭氏:
もちろん最初は、懸念の声もありました。とはいえオンプレミスだから安心で、クラウドだから安心できない訳ではありません。そこでクラウドの安全性を証明するため、さまざまな調査を行いました。AWSにはセキュリティ機能があり、認証も取得している。私たちが安全性をしっかりと確認した上で、顧客にもクラウドの利用を納得してもらっています。
大石:
2011年に初めて打ち合わせをした際、クラウドサービスの比較表を見せていただいた記憶があります。子細なサービス比較を行い、セキュリティ、コスト、ビジネスのアジリティ面でAWSがベストだと判断されたとお聞きしました。
饗庭氏:
クラウドサービスの比較表は、永久的なものではなく1年、2年で見直していくべきものだと考えています。ただ当時の判断において、AWSはダントツでした。機能も充実し安定性、セキュリティ、コスト、全てにおいて優位性があると判断しました。

AIビジネスにとってのクラウド

大石:
インテージテクノスフィアでは、まずはインフラでAWSを活用し、さらに今ではAIでもAWSを活用されています。AI領域に参入することになったきっかけを教えてください。
饗庭氏:

5年半ほど前の創業時に、これまでの統計解析的なアプローチだけでなく、さらにビジネスを拡大しようと考え、AIに取り組むことにしました。最初は研究開発で扱うところから始め、その後、AIベンチャー企業のクロスコンパス社に出資し、人材交流をしてAI技術の蓄積に務めています。

自分たちにできること、できないことがあるので、全てを1から構築するのは得策ではありません。私たちにはデータを価値化するノウハウがあり、AI技術を駆使して分析するところは自分たちで取り組みます。それ以外のAI分析をする事前処理やインフラにまつわる部分は、他社の力も借ります。

大石:
AIのビジネスを進めるにあたり、クラウドはどのような存在ですか?
饗庭氏:

AIを使い分析を行ってもすぐには結果が出ない、あるいは思っていた結果にならないこともあります。そのため試行錯誤が必要となり、それをクイックにやるには柔軟なインフラとその上で動くAI技術が必要です。インフラの初期投資を少なく抑え、今日からでもすぐにAIを始めるためには、クラウドが最適なのです。

AIに取り組んでいくうちに、あのデータがあればこういうデータが欲しいとなり、データ量もどんどん増えるでしょう。また、途中で方向転換もありえます。それらの場合にも、柔軟性の高いクラウドはAIに適しています。

大石:
AIのビジネスで、うまくいったエピソードがあればご紹介ください。
饗庭氏:

人に頼っていたプロセスの自動化の例があります。具体的には、製造業における製品の異常検知です。(対象サービスはこちら

製品の異常をこれまでは職人さんが目で見て合否判定していました。それを、AIで判断します。これにより職人の技術継承が容易に可能となり、人による結果のばらつきも解消します。判断が難しいものだけを職人が見て判断すれば良く、省力化にもつながります。良好な結果が出ているので、実際の工場の仕組みに組み込み、お客さまの業務プロセスに反映させるところです。

かつて職人は、先輩の背中を見て時間をかけ技術を身に付けてきました。しかし現在では、そういったやり方では時間がかかりすぎてしまう。早期に技術を持った人を育て、品質も担保するためにはAI技術を活用することになります。とはいえAIは道具の1つに過ぎません。従来の統計解析もあれば、新しい技術も登場するでしょう。顧客の課題をどう解決するかが重要であり、そのためにどの道具を使い解決するか。それを、私たちは突き詰めていきます。

インテージテクノスフィアでは、現状のAIビジネスを3つの層で捉えています。下の層にはさまざまなベンチャー企業などが提供する簡易的なツールで取り組むAIがあり、一番上には大手メーカーなどが取り組むクルマの自動運転など高度なAIがあります。

私たちは、その間をターゲットにしています。簡易的な汎用AIツールでは解決できない企業の課題に対し、どのようなAI技術を使うべきかをしっかりと考え対処します。そのためにAIのセミオーダー型パッケージを用意し、顧客ごとに異なる課題に柔軟に対応します。これにはAI部分はもちろんインフラにも柔軟性が必要で、全体が柔軟性のある仕組みでなければならない。そうした仕組みの実現のためにも、クラウドに長けたサーバーワークスさんとの協業には重要な意味があります。

インテージテクノスフィア様

これからのAIビジネスについて

大石:
インフラからその上でのビジネス層まで、全てに柔軟性を持たせるのですね。それでより良いものを迅速に顧客に届けていくと。最後に、饗庭さんがお考えになっているAIビジネスの未来像についてお聞かせください。
饗庭氏:

AIという言葉が、バズワード的に広がっています。ガートナーのハイプサイクルをみても過度な期待の時期を終え幻滅期に入りましたが、その後は成長していくと思います。しかしAIは万能ではないので人々の高い期待に応えられないこともあり、たくさんあるAIに取り組む企業が淘汰されていくでしょう。

そういった中で私たちは、簡単な汎用AIツールでは解決できない課題に取り組みます。具体的には、システム開発というスキルを用いて現業システムにAIの成果を組み込むところまで実施します。AIエンジンを作るだけでなく、組み込んで運用するところまでサポートするのです。

この場合も、AIのエンジンを迅速に作るためのインフラ、作ったエンジンを実装し動かすインフラが重要です。トータルサービスとして提供するためにも、サーバーワークスさんとの協業には期待しています。互いの関係性をさらに成長させたいと考えています。

またIoTなどの登場もあり、ますますデータが増えます。今やどこか1箇所に全てのデータを集めることは不可能です。そうなれば分散処理やエッジコンピューティング技術も必要でしょう。また適宜クラウド、オンプレミスを組み合わせたハイブリッド構成にもなるはずです。そういった環境を、サーバーワークスさんと一緒に作り上げていければと思っています。

大石:
インテージテクノスフィアさんが持っているデータを活用するノウハウと、我々のクラウドのノウハウを合わせ、より良いサービスを顧客に提供していくことになりますね。本日はお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました。

トップ対談動画

※ この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。

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