Amazon Connect導入の事例
株式会社NTTスマイルエナジー様
NTT西日本とオムロンの合弁会社として設立されたNTTスマイルエナジー(2020年6月時点の親会社はNTTアノードエナジー、オムロンソーシアルソリューションズ、NTT西日本)。同社はAIやIoTの制御技術を活用し、再生エネルギーや蓄電池などの分散型のエネルギーリソースをつないで制御することで、エネルギーの効率性や持続可能性向上を図るビジネスを展開しています。
Index
システム導入の概要
NTTスマイルエナジーでは、AWS Client VPNとAmazon WorkSpacesを活用し、新型コロナウイルス対策の外出自粛要請に対応するため、全社規模のテレワーク体制を短期間で実現しました。またAmazon ConnectによりSalesforceと連携するコールセンターシステムを実現し、通常ではテレワークが難しいコールセンターオペレーターも含め、全社員が大きな混乱もなくテレワーク環境下で導入前と同等の業務を実現できる環境を構築しました。
AWS Client VPNとAmazon WorkSpacesの導入
同社のエンジニアや営業担当者の一部は、以前からモバイル端末を利用しテレワークを行っていました。しかし新型コロナウイルス対策の外出自粛要請に伴い、テレワークができない社員がいることが新たな課題となったのです。
NTTスマイルエナジーでは、すでに社内システムの多くをAWSに移行しています。全ての社員を対象としたテレワーク環境については、AWS上のシステムとも親和性の高いものを整備しようと考えました。さまざまな職種の人がテレワークを行うので、より高いレベルのセキュリティを担保することも重要なポイントとなりました。
全社規模でのテレワークのためにまず実施したのはVPN環境の強化です。従来は自社データセンターにVPNサーバーを設置し、リモートからのセキュアなアクセスを実現していました。VPN経由で一旦プライベートNWに入ってから社内システム等に安全接続する形をとっていました。
全社規模のテレワークの実現のために、当初はオンプレミスのVPN環境を追加することも考えました。しかしそのためにはかなりの手間とコストがかかります。そこでAWSの東京リージョンでもサービス提供されていたAWS Client VPNで迅速にVPN環境を増強しようと考えたのです。また仮想デスクトップサービスAmazon WorkSpacesも併せて導入しました。在宅などでよりセキュアに業務を行うには、リモート接続しているクライアント端末にデータを残さないAmazon WorkSpacesが最適だと判断したためです。
AWS Client VPNとAmazon WorkSpacesの環境は、外部の手を借りることなく構築しました。2020年3月中旬から本格的に構築を開始し、それぞれ並行して2週間、トータルで3週間程という短期間でテレワークの環境が整い、4月上旬からは全社レベルのテレワーク体制に移行できたのです。
導入にあたっては、社内にどれだけのシステムがあり、誰がどのシステムにアクセスしているかの洗い出しが大変でした。当社にはAWS上にシステムがありVPN経由でアクセスする必要があるもの、あるいはSaaSでもIPアドレス制限により社内からのアクセスが前提となっているものなどさまざまなシステム利用形態があります。業務内容やシステムのセキュリティ要件などに応じ、Amazon WorkSpacesで利用できるようにするのか、あるいはAWS Client VPN経由で接続にするかなどを明らかにし、整理する必要がありました。
AWS Client VPNの利用は初めてということもあり、どのような挙動になるかが把握できていなかったため、急遽検証を行うことにしました。短期間での検証実施となりましたが、AWS Client VPNの仕組みが非常にシンプルであったこともあり、検証の結果はかなり良好で、簡単に使えると判断できました。実際の環境構築についても、サーバーワークスのブログ情報などを参考に自分たちの手で容易に構築でき、運用も特に手間なく行えています。
Amazon Connectの導入
急遽整備することになったテレワーク環境とは別に、当社ではAmazon Connectも活用しています。当社のコールセンターではコールが集中する時期があり、かかってきた問い合わせを捌ききれなくなることもありました。この状況の改善のために、IVR(自動音声応答)システムの導入を考えていました。しかし利用していた物理回線の仕組みでは、IVRの追加にはかなり大きなコストと手間がかかることが分かっていました。そのような課題を抱えていた際に発表されたのが、クラウド型コールセンターサービスのAmazon Connectでした。
2018年頃からAmazon Connectの検討を開始し、ハンズオンなどにも参加して積極的に情報収集をしていました。その後、徐々に国内にも事例が登場するようになったので、Amazon Connectにいち早く取り組み、事例公開もされていたサーバーワークスに相談することにしたのです。
そして、東京リージョンでのサービス提供の開始を受け、2019年1月からサーバーワークスの協力の下、PoCを実施しました。PoCでは機能面、運用面の検証を行い、どのような構成で導入するかを検討しました。2019年6月からは、Salesforceと連携する形でAmazon Connectの本番導入を開始しました。
導入当初はSalesforce Classicを使っていたため、Amazon Connectと併用するにはかなり使いにくく感じる問題もありましたが、急遽SalesforceのUIをLightningに切り替えることで対処しました。その点を除けば、従来環境からの移行には大きな苦労はありませんでした。
また、オペレーターが利用するヘッドセットは慎重に選定しました。Amazon Connectは物理回線の電話より音声品質が劣る場合があり、ヘッドセットの品質がかなり重要となると聞いていたためです。オペレーターにとっては、聞くだけでなく伝える際の音声品質も考慮する必要があります。結果的にはサーバーワークスのサポートを受けながらいくつものヘッドセットを試し、ノイズキャンセル機能が優秀なものを選びました。機能面だけでなくヘッドセットに関するアドバイスまでトータルで提案できるのは、多くの現場でAmazon Connectの実装を行ってきたサーバーワークスだからこそだと思います。
現在Amazon Connectで実現したコールセンターの仕組みは、10名のオペレーターが利用しています。Amazon Connect移行後は、ソフトフォンなのでPC上ですぐに架電でき、電話番号の押し間違えなどの人的ミスもなくなっています。また全ての通話の詳細な通話ログが自動的に記録され、音声データの録音も全て可能となったため、問い合わせ対応品質の向上のためにデータを活用できるようになりました。
またAmazon Connectをすでに導入していたために、新型コロナウイルス対策のためのコールセンターオペレーターのテレワークも容易に実現できました。多くの企業では、電話環境を動かせずにコールセンター業務だけはテレワークに切り替えられない課題を抱えていますが、当社ではテレワーク移行後も遜色なくオフィスと同じように電話対応業務ができています。Salesforceの仕組みも含め、Amazon WorkSpacesからAmazon Connectが利用できるため、オペレーター業務の進め方はオフィスと何ら変わっていません。コールセンターのオペレーターを含め、全ての社員が大きな混乱もなく業務を継続できています。
さらにヘッドセットの品質にこだわったことも、テレワーク時には大きなメリットとなりました。在宅ではオフィス環境と異なり、どうしても生活音が発生してしまいます。しかしヘッドセットのノイズキャンセル機能が優秀だったため、生活音が通話に入り込むことはほぼなく、オペレーターは在宅であることを意識せずに電話対応ができたのです。
Amazon Connect導入の際のサーバーワークスの対応については、フロントの営業担当、技術担当ともに知識と経験が豊富であることを感じました。情報連携も迅速に行われ、スピーディーに対応いただきました。またサーバーワークスのサポート窓口は、Amazon Connectに限らずAWSのちょっとした疑問にも丁寧に回答してくれたので大いに助かりました。
今後の展開とサーバーワークスへの期待
すでに新たなシステムについてもサーバーワークスに協力を仰いでおり、アドバイスをもらっています。今後も、さらに我々のビジネスに寄り添った支援をお願いしたいです。
(価値づくり本部プラットフォームグループ リーダー 田中雄祐氏)
Amazon Connectのコールセンターシステムをさらに発展させたいです。そのためにもAmazon Connectのアップデート状況などに合わせ、さらに使いこなすためのアドバイスをいただけると嬉しいです。
(価値づくり本部デバイスグループ リーダー 出村和之氏)
サーバーワークスはブログやサポートサイトでノウハウを公開してくれています。構築、運用を担当する立場からするとそうしたコンテンツが役立つので、今後とも技術的な情報を網羅し、様々な形で発信していただけると嬉しいです。
(価値づくり本部クラウドグループ 山岡修平氏)
NTTスマイルエナジーでは、2019年度にメインのシステム環境をAWSに移行しています。しかしまだまだAWSの機能を使いこなしているとはいえません。今後はさらにセキュリティ面の強化も行っていきたいので、その点もサーバーワークスには積極的に提案いただきたいです。
企業を取り巻くビジネス環境が、新型コロナウイルスのパンデミック前の状態に戻ることはないでしょう。テレワークとオフィスワークをミックスした環境が、これからは当たり前になるはずです。今回は急遽の対応でAWS Client VPN、Amazon WorkSpaces、Amazon Connectを活用し、テレワーク環境を構築しました。今後これを長く運用していけば、たとえばAmazon WorkSpacesのレスポンスの問題なども出てくると想定しています。今後はテレワーク環境を前提とし、全体のIT環境の見直しも図る必要があると考えています。その際には、サーバーワークスによるサポートを大いに期待しています。
(価値づくり本部エコめがねラボ 課長 林田悠基氏)
※ この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。
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