メインフレーム上の基幹システムをAWSに移行し、柔軟性に優れた事業基盤を再構築インフラを含めたTCOも3分の2に削減
株式会社千趣会様
創業当初はこけしの頒布会を展開し、1955年に株式会社千趣会を設立。現在は通信販売ベルメゾン事業を主力に、通販関連の業務受託を中心とした法人事業、子育て支援を行う保育事業などを展開。通販事業の会員数は248万人(2021年度)。
- ※2022年9月取材
お話を伺った方
- 高田 拓治 氏
- 株式会社千趣会 コーポレート本部 副本部長 最高情報責任者(CIO)
- 玉井 修司 氏
- 株式会社千趣会 IT戦略部 部長
- 池本 修幸 氏
- 株式会社千趣会 コーポレート本部 BPR推進室 エキスパート
事例のポイント
Before
お客様の課題
- デジタルを活用したビジネス環境の変化への迅速な対応
- 多くのコストと管理負担を伴うメインフレームからの脱却
- 柔軟なリソース拡張、構成変更が可能なクラウドのメリットの活用
After
課題解決の成果
- TCOを従来の3分の2に削減(コストの最適化)
- リソースの柔軟な拡張・縮退が可能なクラウド基盤の整備
- 夜間メンテナンスなど保守担当者の負荷軽減
- AWSの最新サービスを活用した事業基盤の持続的な強化
Index
デジタル変革の阻害要因となるメインフレームシステムの刷新
創業以来、多くの人々の暮らしや環境に資する社会貢献を最優先の事業課題に掲げ、2011年以降は「ウーマンスマイルカンパニー」という企業ビジョンのもと、女性のライフスタイルに寄り添うさまざまなサービスを提供する千趣会。こうした同社が現在、特に大きな力を注いでいるのが、2025年までの中期経営計画の柱にもなっているデジタルを活用した事業変革、DXの推進です。コーポレート本部 副本部長 最高情報責任者(CIO)の高田拓治氏は次のように話します。
「その中でも喫緊の課題となったのが、20年以上にわたってメインフレーム上で運用してきた基幹システムの刷新でした。販売管理の機能を中心に改修を重ねてきたこのシステムは、他システムとの連携に多くの工数を要するなど、いくつもの問題点が指摘されるようになっていました。変化するビジネス環境への対応や中期経営計画で掲げるデジタル変革の実現を考えると、脱メインフレームは待ったなしの状況でした」
この課題の解決に向けて基幹システムのオープン化を決断した同社は、新たなERPパッケージを選定し、そのインフラとしてAWSの採用を決定しました。クラウドの創成期から自社の事業基盤に積極的にクラウドテクノロジーを取り入れてきた同社には、他社のクラウドサービスも含めた高度な知見が備わっています。この判断基準においても、グローバルで実績のあるAWSは、堅牢性やセキュリティ面での信頼性も高く、同社の経営陣が求める要件を十分に満たしていました。
プロジェクトのスタートに際して、もう1つの課題となったのが導入パートナーの選定です。複数の候補の中から最終的にサーバーワークスへ支援を要請した理由について、IT戦略部 部長の玉井修司氏は次のように説明します。
「決め手となったのは、やはり豊富な実績です。サーバーワークスはAWSが認定する最上位のプレミアコンサルティングパートナーであり、長期的なパートナーとしての信頼性、エンジニアのスキル、また当社の本社がある関西エリアでのサービス提供なども評価して選定しました」
200台のサーバーが稼働する事業基盤をAWSの最新サービスで再構築
2019年6月からスタートしたプロジェクトでは、2年半後の2021年12月末から旧システムのデータをAWS上へ移行し、2022年1月から新たな基幹システムが本稼働を開始しています。ERPパッケージのベンダーを含めて100名以上が参加し、約200台のサーバーで構成されるシステムを構築する大規模なプロジェクトとなりましたが、外部ベンダーとの作業用に仮想デスクトップのAmazon WorkSpacesを活用するなどの工夫で、インフラであるAWS環境の設計、構築もスムーズに進みました。コーポレート本部 BPR推進室 エキスパートの池本修幸氏は次のように振り返ります。
「当初は機能単位でのリリースも検討しましたが、難易度も踏まえてビッグバン稼働としました。AWSのアーキテクチャ設計では、サーバーワークスからセキュリティの考え方や保守運用を考慮したアカウント設計などについてアドバイスを受けながら、シンプルに構成することができました」
構築の過程では、AWSからリリースされる新サービスも積極的に取り入れ、SIEM on Amazon OpenSearch Serviceを活用したログの可視化、Amazon Connectを利用した監視アラートの自動架電、AWSの大阪リージョンを活用したDR用のバックアップ、Amazon VPCとオンプレミス環境を接続するAWS Transit Gatewayなど、必要な機能を実装していきました。
さらに、基幹システム以外のシステムをオンプレミス環境からAWSに移行するプロジェクトも同時に進め、VMwareの仮想サーバー上のシステムをそのまま移行するVMware Cloud on AWSを採用。ここでもサーバーワークスの支援を受けながら、移行作業を行いました。
「データベースの移行は入念に検証した上で、年末年始の連休の期間で専用のツールを使って実施しました。こうして2年半にわたる基幹システムの移行プロジェクトは無事に終了しましたが、想定外だったのがコロナ禍の発生です。しかし、サーバーワークスのエンジニアはリモートワークに慣れていたことから、コミュニケーション上の問題は一切なく、アプリケーション側の問題で構成変更が生じた際も、迅速な対応によってスケジュールが遅延することはありませんでした」(池本氏)
リソースの柔軟な拡張性に加えてTCOも従来の3分の2に削減
基幹システムのAWSへの移行によって、必要に応じてリソースを柔軟に拡張できる環境が整備され、千趣会ではクラウドのメリットを最大限に享受できるようになりました。
「通販ビジネスでは、季節ごとのイベントなどによってトランザクションが大きく変動します。従来は必要なリソースを予測しながらインフラを増強していましたが、クラウドならピーク時に合わせて柔軟にリソースを拡張・縮退することができます」(玉井氏)
さらに、サーバーのメンテナンスやアプリケーション更新のための停止や再起動が不要となり、保守担当者による夜間対応もなくなりました。プロジェクト終了後は、リソースを見直しながら不要なインスタンスを削除し、現在は定額割引のAmazon EC2リザーブドインスタンスを利用しています。
「その結果、インフラコストと運用コストを合わせたTCOは従来の3分の2となり、コストの最適化が実現しました」(池本氏)
サーバーワークスとのパートナーシップでAWSを活用した事業基盤を継続的に強化
千趣会では現在、運用上の継続課題であるスローダウンの解消に向けて、AWSとアプリケーションのパフォーマンスを最大化するための取り組みを進めています。また、VMware Cloud on AWS上で稼働しているシステムのネイティブなAWS環境への移行や、PBXの更改に合わせたコールセンターシステムのクラウド移行なども検討しているといいます。
中期経営計画の推進については、DXとBPRを両輪に据えながら各種重点施策に取り組んでいく考えです。
「攻めのDXでは、デジタルを活用したマーケティングの強化や新たなサービスの拡充、守りのBPRでは人手を要していた業務をデジタルでシンプル化し、さらなる効率化を進めていきます」(高田氏)
今回のプロジェクトで構築したクラウド環境は、新たなビジネスの創生に向けた他社との共創の基盤ともなるものです。千趣会はサーバーワークスとのパートナーシップを通じて、今後も新たな成果を生み出しながら、AWSへの投資価値をさらに高めていくはずです。
担当エンジニア紹介
※ この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。
選ばれる3つの理由
-
Reason 01
圧倒的な実績数よる
提案力とスピード- 導入実績
- 1340 社
- 案件実績
- 21800 件
-
Reason 02
AWS認定の最上位
パートナーとしての技術力 -
Reason 03
いち早くAWS専業に
取り組んだ歴史