研究開発用システムの基盤としてAWSを初採用、ITパートナーとしてサーバーワークスを選定し、2つの実験用システムのPoCを実施、実験数は3分の1にまで激減
日本ゼオン株式会社様
1950年創業の化学メーカーで、1959年に日本で初めて合成ゴムの量産化に成功。確かな技術力をベースに自動車用タイヤなどの合成ゴムや合成ラテックス、熱可塑性エラストマーといった各種製品を次々と開発してきている。また高機能樹脂やプラスチックフィルム、電子材料やリチウムイオン二次電池材料などの高機能材料製品群も同社事業のもう1つの柱となっている。
左から長谷部 氏、髙橋 氏、細井悠貴 氏、細井雄太 氏
お話を伺った方
- 長谷部宏氏
- デジタル統括推進部門 部門長 / デジタル戦略企画部 部長
- 髙橋和弘氏
- 総合開発センター デジタル研究開発推進室 室長 / デジタル統括推進部門 デジタル戦略企画部ビジネスクリエーショングループ グループ長
- 細井悠貴氏
- デジタル統括推進部門 デジタル戦略企画部ビジネスクリエーショングループ
- 細井雄太氏
- デジタル統括推進部門 デジタル戦略企画部ビジネスクリエーショングループ
事例のポイント
Before
お客様の課題
- データセンターのサポート終了に伴い、オンプレミス環境の移行先をAWSに決定したが、社内にはAWSに関する知見やノウハウが無かった
- 今後全社を挙げてDXを推進していくに当たり、スピード感を持ってより高品質なシステムを開発していく必要があった
After
課題解決の成果
- AWS上に構築した2つのシステムを活用することで、研究開発のための実験数を3分の1にまで減らすことができた
- サーバーワークスとの週2回の定例会を通じて様々な知見を獲得し、サーバーレスのコンテナ実行環境であるAWS Fargateの利用も開始した
導入サービス
Index
データセンターのサポート終了を機に、今後のDX推進も睨み、全社を挙げてのAWS移行を決定
2021年当時、日本ゼオンでは、基幹システムを含む各種システムを、社外データセンターのオンプレミス環境に構築して利用していましたが、データセンターのサポート終了を迎える時期が迫っていました。そこで同社はこれを機に全社のシステム基盤をクラウド環境に移行することを決定しました。当時の状況について、デジタル統括推進部門 デジタル統括推進部門長の長谷部宏氏は、次のように説明します。
長谷部氏「クラウドへの移行は、まずよく言われるクラウド利用のメリットに因るもので、コストの適正化と可用性の確保が第一の目的です。もちろん運用負荷の軽減という観点もありました。そしてもう1つ、当社は2020年10月にDX推進を担うデジタル統括推進部門という組織を立ち上げたのですが、クラウドには今後、全社を挙げてDXを推進していくためのシステム基盤という重要な役割も期待していました。DXの推進に伴い、実験で生成されるデータ量が増え続けることは明白ですし、各種システムのデータを連携してさらに新たなデータを生成するという場面も増えていくことが予想されます。そうした膨大なデータを正確かつ迅速に処理できる基盤としてクラウドは必要不可欠だと考えました」
全社レベルでのクラウド移行を決めた同社は、先行して研究開発用の2つのシステムの基盤にパブリッククラウドを適用することを決定、実際に利用するサービスの選定に入りますが、複数の候補の中から採用したのがAWSでした。
長谷部氏「各クラウドベンダーには、我々から直接問い合わせたのですが、一番熱意を持って対応してくれたのがAWSでした。そもそもクラウド自体に経験が無い中、手探りでプロジェクトをスタートさせた我々は不安を抱えていましたが、AWSは何か質問した時のレスポンスの速さが突出していたのです。導入実績の豊富さ、多様な機能を提供していたことも安心感の裏付けとなりました」
パートナー選定のポイントは“話が通じるか”と“きちんと答えてくれるか”。真摯に向き合ってくれたのがサーバーワークス
こうしてAWSへの採用を決定した日本ゼオンでは、基幹システムに先行して実験用システムのAWS移行に着手しますが、この時にAWSについて相談できるITパートナー企業の必要性を強く感じていました。この点について、研究開発拠点である総合開発センター デジタル研究開発推進室 室長の髙橋和弘氏は、次のように説明します。
高橋氏「今回AWSに2つの実験用システムを移行しましたが、実はこれに先立ち、システム開発を委託したアプリケーションベンダーにAWS上でこれらのシステムを構築してもらい、少し前から使っていたのです。彼らは“私たちが作ったらこうなります”というAWS環境を提示してくれたのですが、当然インフラの専門家ではありません。我々の“AWSでこんなことがしたい”という要望に応えてもらうことは、そもそも分野が違いますし、我々にもAWSに関する知見がありませんでした。自分たちの思いを形にするためにどうすればいいのかが分からなかったのです。本格的にAWSに移行するに当たっては、AWSについて随時相談できるITパートナー企業の必要性を痛感していました」
そこで同社は、以前サーバーワークスと取引経験のあったインフラ担当者の紹介を受けてサーバーワークスとの顔合わせに臨みました。そして自社のAWS移行を支援してもらうITパートナー企業として、サーバーワークスを選定することを決定しました。
高橋氏「パートナー選定に当たって何よりも重要なポイントは、まず私たちの“話が通じるかどうか”、そして疑問や質問に対して“きちんと答えてくれるかどうか”です。こうした我々の思いに真摯に向き合ってくれたのが、AWSパートナー最上位のAPNプレミアティアサービスパートナーでもあるサーバーワークスでした」
こうして日本ゼオンは、2022年4月にサーバーワークスとアドバイザリー契約を締結、個別のシステム構築案件についてはAWS構築・移行支援サービスを採用して、まず2つのシステムの移行プロジェクトに着手しました。
サーバーワークスはAWSを翻訳し、分かりやすい言葉で教えてくれるITパートナー、週2回の定例会は“課題を解決できるチャンス”
今回日本ゼオンがAWS上に構築した研究開発用のシステムは複数ありますが、その中でも特に大きな効果を獲得することができたのが、データ入力システムと推算システムです。これらシステムについて、デジタル統括推進部門 デジタル戦略企画部ビジネスクリエーショングループの細井悠貴氏は、次のように説明します。
細井悠貴氏「データ入力システムは文字通り、様々な化学実験を実施した時に生成される実験データを入力、蓄積しておくためのシステムです。そして推算システムは、蓄積した実験データを使用して実験のシミュレーションを行い、得られる実験データを推測するためものです。今回これら2つのシステムをアプリケーションベンダーと共同開発してAWS上に構築したのですが、正確には構築プロジェクトというよりも、アジャイル開発の手法を採用したPoCという位置付けのものです」
サーバーワークスとの実際のやり取りとしては、同社が“システムを使ってこういうことを実現したい”というイメージを提示し、“それならAWS上のアーキテクチャはこう組んで、こんなAWSサービスを使うのがいいですよ”という具体的な提案をサーバーワークスから提示してもらうという流れです。
細井悠貴氏「これには週2回のペースで実施している定例会が非常に有用でした。その中で要件定義や具体的な仕様を詰めていく相談までできるので、よりスピード感を持って必要なシステムを作り上げていくことができます。サーバーワークスはAWSを翻訳し、分かりやすい言葉で教えてくれる良きパートナーであり、週2回の定例会は我々にとって“課題を解決できるチャンス”だと捉えています」
この点に関連して、サーバーワークス側から定例会に参加しているアプリケーションサービス部 インターナルエデュケーション課 2020, 2021, 2022 APN ALL AWS Certifications Engineersの竹本佳史は、自身の思いを次のように語ります。
竹本「定例会では日本ゼオン様のお悩みを伺い、整理した上で、こんなシステム構成にすることで、こんなことが実現できますよというご提案をさせていただいています。そこでは一エンジニアという役割に留まらず、一人の“ソリューションアーキテクト”としてお客様が抱える課題の解決に少しでも貢献できているのではないかと自負しています」
また当初定例会に参加していたエンタープライズクラウド部 技術3課 2021, 2022 APN AWS Top Engineersの福島和弥も、お客様とのやり取りの中で留意していた点について、次のように語ります。
福島「日本ゼオン様のクラウド移行の背景には、“自社の必要とするシステムをスピード感持って構築していきたい”という強い思いがありました。そのため当時私が心掛けていたことは、定例会の中ですぐにお答えできるように、できる限りの事前準備をしていくことです。極力宿題を持ち帰らない、その場で分かることは必ずその場で解決する、というぐらいの意気込みで臨んでいました」
AWS上に構築したシステムの活用で実験数は3分の1に激減、サーバーレスのコンテナ実行環境「AWS Fargate」も利用も開始
日本ゼオンは今回、データ入力システムと推算システムをAWS上に構築したことで、研究開発のための実験数を3分の1にまで減らすことができました。
高橋氏「例えば過去の実験データはExcelベースで保存していたのですが、今回それらも全てAWS上の新たなシステムに移し変えたことで、一瞬で検索できるようになりました。約90%の時間短縮に繋がっていると思います。地味な部分ですが、システムサイドのこうした細かい改善の積み重ねが、結果的によりスピーディで正確な研究開発に繋がっていくと考えています」
また今回、サーバーワークスの支援を受けて社内に取り込んだテクノロジーとして、デジタル統括推進部門 デジタル戦略企画部ビジネスクリエーショングループの細井雄太氏は、サーバーレスのコンテナ実行環境であるAWS Fargateを挙げます。
細井雄太氏「Webアプリケーションの開発時にAWS Fargateを利用すれば、コンテナの実行環境を管理する必要が無くなります。我々はサーバーOSのメンテナンスといった手間から解放されることになり、アプリケーションの開発に集中することができるのです。AWS Fargateは我々自身で活用するだけでなく、今後外部のアプリケーションベンダーに開発を依頼する際にも、応用してもらえるのではないかと考えています」
最後に今回のプロジェクトを通してのサーバーワークスに対する評価と今後の展望について、高橋氏と長谷部氏にコメントをいただきました。
高橋氏「今だから言えることですが、サーバーワークスの支援が無ければ、AWSへの全面移行という当初の判断も途中で変わっていたかもしれません。選択するパブリッククラウドもコストだけの判断で選び直していたかもしれないということです。我々がやりたいことを理解し、それに対してどんなアーキテクチャを組んで、どんなAWSサービスを適用すればいいかというサーバーワークスからの提案があったからこそ、AWS上に構築した2つのシステムで大きな効果を獲得することができたと思います」
長谷部氏「今回はクラウド移行の第一弾として研究開発用のシステムをAWS上で構築しましたが、全社視点で見た時にはデータセンターにまだ多くのシステムが残っています。次のステップとしては2023年9月を目標に基幹システムおよび周辺システムを順次、AWSに移行していく予定です。そして最終的には2025年をターゲットに、オンプレミス環境に残す必要のあるシステム以外は全て、AWSへの移行を完了させたいと考えています。これからもサーバーワークスには的確な提案とアドバイス、実際の構築フェーズでの心強いサポートを期待しています」
担当エンジニア紹介
※ この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数、およその数で記述しています。
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